「この夏並みの(節電)協力をいただければ、冬は乗り切れると思う」。枝野幸男経済産業相は1日に開かれたエネルギー・環境会議後の会見で、冬の電力需給についてこう述べた。だが、この冬の需給は地域によっては極めて危うい状況が続く。枝野経産相も認めている通り、今冬の電力需給は“節電頼み”といっていい。
中でも、需給がもっとも厳しいのが関西電力管内だ。関電は稼働原発4基のうち、3基が年内に定検に入り、来年2月にはすべての原発が止まる。
このため、今冬の最大需要想定2665万キロワットに対し、供給力は最大9・5%不足する見通し。関電ではこの差を節電で補う考えで、すべての利用者に10%以上の節電を要請する。
だが、節電の要請だけで、目標を達成することが難しいことは関電自身が証明している。関電は今夏、すべての契約者に対し、昨夏に比べて一律15%程度の節電を要請したが、実際の節電効果は5%程度にとどまった。
被災地の東北電力も厳しい需給が続く。東北電はすべての原発が停止しており、今冬の供給力は最大5・3%不足するため、東京、北海道の両電力からの電力融通でカバーする。東電は今冬の最大需要想定5150万キロワットに対し、被災した火力発電所の復旧もあって供給力は220万~340万上回る見通しで、藤本孝副社長はこの日の会見で、電力融通について「被災した東北を最優先で考えたい」と述べた。
今夏に続く電力不足に対し、企業も節電の強化策を検討し始めている。
各地に支社や営業所を置く日立製作所では「冬場も自家発電の供給力拡大など、積極的に省エネ対策を進める」(三好崇司副社長)考え。関電管内に工場を持つ日立造船も「自家発電設備のレンタルや照明のLED化を検討する」(古川実会長兼社長)という。
ただ、「生産を遅らせてでも(節電対策を)やることは考えていない」(同)とし、生産活動の妨げにならない範囲での節電にとどめる意向。電力各社は料金メニューなども工夫し、節電を促したい考えだが、節電要請だけで、どこまで電力需要を抑制できるのか見通せない状況だ。
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