19日午前のニューヨーク外国為替市場の円相場は、欧米の景気に対する根強い懸念を背景に安全資産として円が買われ、戦後初めて1ドル=75円台に突入した。円は一時75円95銭まで上昇、東日本大震災直後の3月17日に付けた76円25銭の戦後最高値を更新した。世界景気の悪化懸念が高まる中で急激な円高が進むことで、日本の輸出企業にさらなる打撃を与え、日本経済を下押しする恐れが強まっている。
正午現在は76円40銭~50銭と、前日午後5時比12銭の円高・ドル安。
8月5日に最上位だった米国債の格付けが初めて引き下げられて以降、金融市場は不安定な状況が続く。米国では雇用や住宅市場などの回復が遅れ、景気の二番底に陥る可能性が色濃くなってきた。またユーロ圏の債務危機に歯止めがかからず、危機が米国の金融システムに波及するリスクが投資家の間で意識され始めた。
さらに、中尾武彦財務官が米メディアとのインタビューで「円を特定の水準に誘導するための持続的な為替介入を実施する計画はない」と語ったことが伝えられ、円を買う動きが強まった。日本政府・日銀は4日に約4カ月半ぶりに円売り介入に踏み切り、一時は80円台前半に下落。だが、介入効果は長続きしなかった。
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