米インターネット検索大手グーグルは15日、米携帯電話端末大手モトローラ・モビリティ・ホールディングスを125億ドル(約9600億円)で買収することで合意したと発表した。グーグルはスマートフォン(多機能携帯電話)向けの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を携帯メーカーに提供してきたが、モトローラ買収で端末事業に自ら本格参入。「iPhone」を擁するライバルの米アップルに一騎打ちを挑む。
グーグルのラリー・ペイジ最高経営責任者(CEO)は「アンドロイドに活力を与えるような驚くべき体験を創り出す」とする声明を出した。当局の承認を経て、来年初めまでの買収完了を目指す。グーグルが、本格的なハード事業に進出するのは初めて。
急成長するスマートフォン市場ではアップルが先行。グーグルは2007年に発表したアンドロイドを各国メーカーに無償提供してきた。米調査会社ガートナーによると、アンドロイド搭載端末のシェアは今年4~6月期に約40%を占め、iPhoneを上回っている。
ただ、グーグルは10年に台湾メーカーへの生産委託で自社ブランドの端末を発売したが、半年後に不振で販売を終了するなど、ハードでは苦戦を強いられてきた。これに対し、アップルはハードとソフトの両方を手がけ、いち早くブランドの構築に成功した。グーグルも、モトローラ買収で、同様の態勢を整え、念願の自社ブランド端末でのシェア獲得を目指す構えだ。
またスマートフォンをめぐっては、モトローラとアップルが特許侵害で提訴合戦を繰り広げるなど開発競争も激化しており、買収によってモトローラの特許を手中に収める狙いもあるとみられる。
グーグルは端末メーカーへのソフト供給は続けるとしている。ただ、自らハードを手がけることで提供先は競争相手となる。世界市場で2位のサムスン電子などの韓国勢のほか、スマートフォンで出遅れた日本メーカーも、相次いでアンドロイド搭載端末を投入しており、今後、提供先メーカーの戦略に影響が出る可能性もありそうだ。
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モトローラ 米国の通信機器大手。ガートナーによると、10年の携帯端末の世界市場でのシェアは2・4%の7位。08年まではトップのフィンランドのノキアに次ぐ2位だったが、スマートフォンで出遅れ、順位を下げた。11年に業績不振の携帯電話機器部門を切り離し、「モトローラ・モビリティ・ホールディングス」が発足した。
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