[東京 22日 ロイター] 建設株が底堅い値動きを見せている。菅直人首相の退陣が固まり、新政権による復興計画進展への期待感が浮上している。円高への警戒感から輸出株が売られる中、消去法的に資金が流入しやすいとの見方も出ている。
29日にも行われる見通しとなった民主党代表選では、大連立の是非や政権公約見直しなどが焦点になっているが、マーケットでは誰が次期首相になっても、これまで行き詰まっていた与野党協議が進展し、本格的な震災復興計画を反映した第3次補正予算成立に向けた動きが本格化するとの期待感が強くなっている。
株式市場では22日、福田組(1899.T: 株価, ニュース, レポート)、前田道路(1883.T: 株価, ニュース, レポート)が買われたほか、奥村組(1833.T: 株価, ニュース, レポート)、佐田建設(1826.T: 株価, ニュース, レポート)、植木組(1867.T: 株価, ニュース, レポート)など主に準大手・中堅ゼネコンが堅調に推移している。大成建設(1801.T: 株価, ニュース, レポート)、鹿島(1812.T: 株価, ニュース, レポート)などの大手ゼネコンはまちまちの動きだが、大和証券キャピタル・マーケッツ金融証券研究所では「今後見込まれる数兆円規模の復興工事は、地元建設業者中心で対応できる工事量とは想定しにくい。第3次補正予算の編成、さらに被災地の新たなまちづくり案が具体化される過程で、大手ゼネコンの復興工事への関与があらためて見直されるのではないか」と予想している。
被災地のがれき処理だけみても、予想以上に膨大な量が発生し、処理の遅滞が問題となっている。事態打開のため、大手ゼネコン各社が大型プロジェクトを受注するとの見方が浮上している。「いずれにしても、第3次補正予算の成立で復興特需が生まれるのは間違いない。円高の長期化が懸念される中、建設株は消去法的に買われやすい」(コスモ証券本店法人営業部次長の中島肇氏)との声が出ている。
世界の主要国は緊縮財政に舵を切っている。財政拡大に向かうのは日本ぐらいであり、海外投資家が注目する可能性もある。メリルリンチ日本証券は直近のセクター判断で、住宅設備機器を含め、住宅関連の復興需要の増加が予想されるとして、建設・不動産を「ニュートラル」から「オーバーウエイト」へ引き上げた。
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